若手の早期離職を食い止めたのは、評価でも手当でもなく「ある問い」だった
- kaedefukushima
- 8月20日
- 読了時間: 4分

部下から「辞めたいです」と言われたら、あなたはどうしますか?
ある上司は、1on1の場でのある問いかけによって、離職を防ぐことに成功しました。
「…もう営業辛いです…。辞めたいです。」
とある2万人規模のメーカー、営業課長田中さん(42歳・男性)は、
1on1で、あるメンバーの言葉を聞くたびに胸がずっしり重くなっていました。
そのメンバーは、目標数字も60%達成ほどで、
1on1や会議でも、愚痴や後ろ向きな発言が多い若手営業です(24歳女性)
田中さんは持ち前の明るさで、彼女を励まし、アドバイスをしてきましたが彼女が変わる様子はありませんでした。
「営業を辞めたいと言われても、すぐに部署異動できるわけじゃないし....
このままだと、辞めてしまうかもしれないな...。」
そんなときに、当社の研修を受けていただきました。
研修では「自分で考え、自分で動く人材育成」をコンセプトに、
「内発的動機」を高める1on1を実践していただきました。
内発的動機とは
活動そのものが楽しい、意味がある、成長を感じられるなど、行動自体から得られる満足感や充実感による動機。
外部からの報酬や指示ではなく、心から「やりたい」と思える状態が続くことで、困難な課題にも粘り強く取り組めるとされています。
研修後の1on1。そのメンバーは、いつも通り小さな声でつぶやきます。
メンバー「今週もお客様からご指摘いただいてしまって....。もう営業は嫌です。」
田中さんは、アドバイスをするのではなく、まずその気持ちを受け止めます。
田中さん「そうか、嫌なのか。どんな時にそう感じたの?」
メンバー「改善の提案をしているんですが、全然響いている感じがなくて...。
会話もなんだかうまく続かなくて....」
田中さん「そうか。そうだったんだね。」
しばらく話を聞いたあと、田中さんはゆっくりと切り出しました。
田中さん「今日は○○さんの、価値観を知りたいと思っていて。いくつか質問をさせてね。」
メンバー「....はい、なんでしょうか。」
田中さん「学生の頃、楽しかったとか、充実してたって時って、どんな時だった?」
研修の中で、
・「動機づけをするには、まずその人本人の価値観を知ること」が重要であるということ
・価値観は、過去の「充実していたい体験」や反対に「辛かった体験」など
感情が動いた体験の中に潜んでいると言うことをお伝えしました。
田中さん「学生の頃、楽しかったとか、充実してたって時って、どんな時だった?」
メンバー「……高校の文化祭とかですかね。」
田中さん「おお、そうなんだね。もう少し教えてくれる?」
メンバー「そうですね。準備がすごい大変だったんですが、クラス全員で協力して
完成させて。お客さんが来てくれた時、すごい楽しかったです。」
田中さん「そうなんだね。それが、どうして楽しかったんだろう。」
メンバー「どうして楽しかったか...?来てくれたお客さんが、喜んで笑顔に
なってくれたのが、嬉しかったし楽しかったです。」
田中さん「改めて、○○さんが大事にしている価値観ってなんだろう?」
そこから何度か対話を重ねていくうちに、メンバーは気がつきます。
メンバー「そうですね。やっぱり私が大事にしていることは、自分がしたことで、
相手を笑顔にすることなんですよね。」
田中さん「そっか、そっか。大事にしてる価値観は、今の仕事にどう繋がるんだろう?」
メンバー「私がしたことで、お客様に喜んでいただくというのはまさに同じで。
だから営業を選んだことを思い出しました。」
田中さん「うん、うん。お客様に喜んでいただくために、
○○さんにできることはどんなことだろう?」
メンバー「はい、お客様にお願いされていたことがあって、どうしたら喜んでくれそうか
もっと考えてみたくなりました。また相談させてください!」
内発的な動機を引き出す「問い」
田中さんはこのように、問いかけによって、
本人の価値観を過去の体験から引き出し、動機づけを行いました。
それから、半年後。
田中さんから嬉しい報告をもらいました。
「辞めたいっていってたメンバーの○○さん、辞めずに今でも頑張ってくれてて、目標60%達成だったところから、しっかり達成もしてくれるようになりましたよ!」
「うちでも、こんな1on1ができたら…」
「若手社員の離職に困っている…」
そう思った方は、
ぜひ【こちら】よりご相談ください。
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