心理的安全性を下げる、ある一言
- ENCOURAGE INNOVATION

- 10月14日
- 読了時間: 3分

「もっと気軽に相談してほしいのに、どうしたらいいんだろう。」
金融機関で部長を務める三浦さん(55歳・男性)は、悩んでいました。
三浦さんは普段からメンバーを気にかけ、積極的に声をかけていましたが、メンバーの方から相談や報告に来ることは、ほとんどなかったといいます。
「何か問題が起きても、自分には話しにくい雰囲気なのかもしれない」
心理的安全性の低さを課題に感じていたタイミングで、当社の研修を受けていただきました。
研修では「自ら考え、自ら動く人材育成」をコンセプトに、
「原因論の問いかけをやめる」 ことを実践していただきました。
原因論の問いかけとは、 「なぜできなかったのか」「どうしてミスしたのか」といった原因を追及する質問を指します。
製造現場では「なぜを5回繰り返す」ことが重要とされるように、原因を掘り下げることは、モノや仕組みの改善において非常に有効です。
しかし、人に対して同じ問いを繰り返すと、逆効果になります。
「本当にそれだけで変わるのか?」
正直、最初は半信半疑だったという三浦さん。
しかし研修後、 「なんでできてないの?」原因論の問いかけをやめ、代わりに
「どうしたらできそう?」「次はどう動こうか?」と、未来に焦点を当てた問いかけに変えました。
すると、ある日。
これまで自分から話しかけてくることのなかった 27歳の女性職員が、デスクにやってきたといいます。
「部長、パソコンの手を止めて、話を聞いてもらえますか?」
その瞬間、三浦さんは驚きと同時に嬉しさを感じたそうです。
「これまで、言いにくいことは飲み込んでしまうタイプの子だったんです。 そんな彼女が、自分に“言いにくいこと”をちゃんと伝えてくれたことが、すごく嬉しかったんです。」
それからも継続して原因論の問いかけをやめたことで、
メンバーが日常的に相談してくれたり、 会議で自ら発言する場面が明らかに増えたと教えてくれました。
なぜ「原因論の問いかけ」をやめると、相談や発言が増えるのか?
「なぜできないの?」「どうしてミスしたの?」――。
一見すると、改善を促す建設的な言葉のように思えます。
しかし脳科学的には、人に対して原因論の問いかけを行うと、脳の扁桃体が反応し、 危険を察知したときと同じ「闘争・逃走反応」が起こるとされています。
つまり、相手は戦う(反論する)か、逃げる(沈黙・回避)のどちらかを取りやすくなるのです。
原因論の問いかけをやめることで、これらの反応を抑え、 心理的安全性を下げないことに繋がります。
心理的な安心感が保たれることで、自分の考えを言葉にしやすくなり、 報告や相談が自然に増えていくのです。
また、指摘や改善が必要な場面では、アドラー心理学の目的論の問いかけが有効です。目的論の問いかけは、「なぜできなかったのか」ではなく、 「どうすればできるか」「次はどうしたいか」と、未来に焦点を当てます。
このアプローチは、相手の思考を解決思考へと切り替え、自ら課題を考え、行動する力を引き出すことができます。
「相談や報告をなかなかしてくれない」
「会議での発言が少ない」
「心理的安全性を高めたい」
そんな悩みをお持ちの方は、ぜひこちらからお気軽にご相談ください。





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